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Uターン・Iターンの転職が増えている理由

Uターン・Iターンの転職が増えている理由

若者世代に広がる「地元回帰」の波

何年か前にネットを中心に「マイルドヤンキー」という言葉が流行しました。

実はこの「マイルドヤンキー」はかつて流行語大賞にノミネートされたこともあったのですが、一般への浸透率はそれほど高くなかったようです。

このマイルドヤンキーとは、簡単に言うと地元志向で行動範囲が極めて狭く、小中学校時代の友人と長く付き合いながらゆるく生活していくというスタイルをしている人たちのことを言います。

もともとヤンキーと分類される人たちは地元仲間でつるむ傾向があったのですが、今時の若者はかつてのヤンキーのように暴力的行為や他のグループと喧嘩をするようなことは好まずよりゆるく生活することを好むことから「マイルド」という言葉がつけられました。

またヤンキーのような暴力行為はしないものの、見た目的にはかつてのヤンキーのようなファッションをしていることもよくあるということも関係しています。

マイルドヤンキーという存在自体についてはいろいろな意見があるとは思いますが、この現象は現代の若者世代の心理の一端を示すものであるということは確かです。

つまりガツガツと出世や高収入を狙ったり広い世間に出て自分の実力で勝負をしようという考えは薄く、そんなことをするくらいなら気心の知れた仲間とよく知っている場所でゆるく生活をしていった方がずっとよいという価値観を持つ人が増えているということです。

地元での生活でのメリットとは

これは人口や仕事が東京都内に一極集中して地方都市がどんどん疲弊しているという流れとは真逆のもののようにも思えます。

ですがその反面で地元を離れて都内で仕事を探そうとしても思うような仕事を見つけられなかったり、仮に見つけても長時間神経をすり減らすような仕事を狭い場所でずっとやり続けなければいけないということもあったりします。

都内での生活は確かに刺激があり収入水準も地方都市に比べて高くなっていますが、その分生活をしていくためにかかるコストも高く、一人暮らしを維持していくというのはそうそう簡単なことではありません。

その点地方の自分の地元では、両親の持ち家に同居をすることができますし、実家を出て一人暮らしをするにしても家賃や生活にかかるコストが格段に安くなります。

仕事は全体的に都内よりは少ないですが、定職さえ見つけてそこそこ真面目に生活していれば困窮するということはありません。

ある意味都内の刺激に疲れを感じた若者たちが、もっと自分の時間を大切にした生活をしたいということでした選択の一つであるといえます。

地方創生のために力にになるかどうか

このように書くとまるで若者の多くが覇気のない生き方をしているかのように思えますが、実際にはそうした地方へのUターンやIターンはそれほど悪いことばかりではありません。

というのも都内への一極集中があまりにも進みすぎてしまったがために、インフラ整備の問題や治安面、自然災害への対応という意味で不安要素が出てきているのもまた事実だからです。

現在では政府も官庁を部分的に地方に移転して政治機能を分散させるための動きを取り始めています。

地方にはそれぞれ特色があり、なくなってしまったら取り戻せなくなる伝統文化もあります。

今後は地方に住む若者たちにとってどのように活気ある仕事を作っていくことができるかということが国としての課題になっていくといえます。