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損害保険業界

損害保険業界

大手損害保険3グループは堅調

2015年度の大手損害保険3グループ(東京海上ホールディングス、MS&ADインシュアランスグループホールディングス、損保ジャパン日本興亜ホールディングス)はすべて過去最高益を記録するという好決算となりました。

しかしながら損害保険業界全体を見ると先行きは全体的に安定的なものではなく、今後も爆発的に売り上げが高くなる要素は見えないままの状態となっています。

ただしここ数年の間に起こった世界的な自然災害が2013年より起こらなくなったということもあり、全体として保険金支払い額が落ち着いたということは追い風となりました。

現在の損害保険企業は国内だけでなく海外にも手広く事業を拡げており、かつ海外からの外資系保険会社もどんどん国内市場に参入してきているというのが実情です。

日本国内の損害保険市場を見ると、人口減や損害保険のメイン事業となる自動車保険で若者の車離れが進むなど、全体のパイが減ってきているということは将来的な懸念材料となっています。

今後は自動車が電子化するなど大きな構造の変化が起こると、事故率や故障時の修理費用の変動も起こってくるのでそのあたりもまた不透明感の理由です。

自動車保険の保険料負担が次々値上げ

2015年10月から大きな動きとなったのが、自動車保険の保険料が軒並み改定されていったということです。

これは自動車保険を扱う各社がもとにしているノンフリート等級別料率制度を改定したことによっています。

このことにより、それまでずっと無事故を続けてきたのにも関わらず自動車保険を更新したら保険料が値上がりしてしまったという事例も招くことになってしまいました。

保険料が上がる原因になったのはそもそも保険料が全体的に値上がりになったということとの他に、消費増税による影響分の上乗せ、それと車両料率クラスの見直しがされたという三つの要素です。

まずなぜ自動車保険料が全体的に上がってしまったかということで言うと、それはやはり事故件数が増えたことにより保険会社からの保険金支払いが増えたということが関係しています。

中でも高齢者ドライバーが起こす事故が件数も多く重大事故になりやすいということが保険料の底上げにつながってしまったといえます。

またどの業界にも非常に大きな打撃を与えているのが消費増税ですが、その影響分を保険料に上乗せするという対策がとられたことにより、自然に保険料が全体的に値上がりとなりました。

最後の車両料率クラスの見直しですが、これは今まで適用してきた車の排気量や車種による事故率の算定を見直したことで、料金が大きく変わることになった車種が出てしまったものです。

この車種による車両料率クラスの見直しがかかった車種としては、トヨタ・カローラやマツダ・センティアといったいくつかの車種です。

多いものになると料率が一気に4倍となっていたりするので、中にはびっくりするほど値上がりをしてしまったというユーザーもいることでしょう。

自動車保険業界は条件により各社まったく料金体系が違うということもあるので、今後はより消費者側から厳しく比較をされていくことになるでしょう。

なので自動車保険における新しい保険料やサービスをいかに提供できるかということが生き残りのカギとなってきます。

大型買収は一服した感じ

保険業界全体に言えることですが、ここ数年大型保険会社が国内外で合併を繰り返すという大きな編成がありました。

中でも国内第一位の東京海上ホールディングスは先進国でどんどん保険会社の買収を進めており、すでに米国のHCCやフィラデルフィア、デルファイといった企業が傘下となっています。

国内第二位のMS&ADインシュアランスグルホールディングはアジア各国の保険会社への出資を進めており、すでにマレーシアやインドネシア、インドなどの保険会社とグループを形成しています。

こうした買収の動きは一服した感じもある一方で、多くの保険会社がさらなる事業拡大のために世界中の会社との合併・提携を進めています。